春ーーー。 それは始まりの季節。 新しい制服をきた新入生や社会人が、少しの不安と、大きな期待に胸を膨らませ、新しい一歩を踏み出していく。 俺(市川七星)はその一団を見守る一人になるーーー はずだったのだが… いきなり生命の危機にさらされていた… 〜〜〜〜〜 七星「どうする…俺」 冷蔵庫を開け中を覗き込む。 七星「朝飯が…ない…母さんが用意してくれてた分が昨日までだったとは…」 部屋をうろうろしながら考える 七星「今から作ってたら間に合わない、だけどすぐに食べれる物もない…。 こうなったのは全て父さんのせいだ!」 〜〜(回想シーン)〜〜 父「七星…大切な事を伝えなければならない…!」 七星「な、なんだよ…急に?」 父「実はな…」 七星「うん…(唾を飲む)」 父「海外出張が決まった」 七星「はい?」 父「母さんと二人で3ヶ月の予定だ」 七星「いや!そんな簡単に言う事じゃないだろ!それに二人でって…俺はどうなんだよ!?」 母「大丈夫よ。お隣りの優月ちゃん家に頼んだから。」 父「お前には学校があるしな、それにそこまで長期で行くわけじゃない。」 母「ご飯も何日か分は置いておくから。」 父「まぁ…そういう訳だ。 出発は一週間後だからな。 それによかったじゃないか、優月ちゃんに世話してもらえるんだから。 あっはっは」 そう言って二人は旅立って行った 〜〜(回想終了)〜〜 七星「うぅ…腹減った…」 優月「やっぱりこうだと思ったのよ…」 七星「うわっ優月!いつの間に俺んちに入ってきたんだ!?」 こいつは星村 優月(ほしむら ゆづき) 家が隣って事もあって、本当に産まれた時から一緒で、幼なじみって奴だ。 小さい頃から俺の両親はよく出掛けてたから、結構優月の家にはお世話になってるから、あいつの両親とも仲がいいかな。 「まぁそんな事よりお前が来てくれたって事は…」 優月「そーよ。どうせこんなんだろうと思ったから、ちゃんと持って来てあげたわよ。」 優月はそう言うと七星に朝飯が入ったビニール袋をつきつける。 七星「ありがとう!君は女神だ!」 優月「はいはい…それより早く食べないと時間ないわよ?」 七星「そうだった…!」 優月「昔から変わらないんだから…」 七星「準備完了!海斗が待ってるだろうから行こう」 優月「戸締まりは?」 七星「だいじょーぶ。」 二人は学校に向かって歩き始める。 七星「もう春だなぁ…」 優月「桜も満開だもんね。」 二人は並びながら、桜並木を歩く。 七星「春休みは短かったから、もう少し欲しかったな」 優月「そうね。課題もなかったしね。」 退屈そうにベンチ座っていた男が二人に話かける 海斗「相変わらずなのはいいんだけど、人を待たせるのはよろしくないね…」 七星「海斗おはよう」 こいつは長谷川 海斗(はせがわ かいと) 幼稚園からの悪友でよくイタズラをして、親父達に怒られたな。 あとは…オタクって事かな、中学の時にそっちの道に進み始めて困ったもんだよ。 たまに秋葉原に行こうって誘われるんだよなぁ。 見た目はカッコイイのになぁ… 優月「ごめんね。海斗君…遅くなっちゃって」 海斗「優月ちゃんは悪くないから気にしないで。 どうせそこの馬鹿のせいだろ?」 七星「うっ…そ、そんな事より二人共、急がないと間に合わないよ」 優月「本当だ!急ぎましょ。」 海斗「新学期そうそう走る事になるとは…ついてないね。」 そうして3人は学校に向け走り出した。 〜〜〜〜〜〜 七星「意外に余裕だったね」 優月「そうね…今日は朝からツイてないわ…」 海斗「全くだ…とりあえずクラスを確認しようぜ」 七星「確認しなくてもわかる気がするんだけどね」 三人でクラス分けの紙が張り出されているのを確認する 優月「やっぱり三人共一緒ね」 海斗「流石に幼稚園から同じクラスだと陰謀じみた物を感じるな」 七星「確認した事だし教室に行こうか」 〜〜〜〜〜〜 特に何もなく始業式も終わり、教室に戻り簡単な自己紹介が始まる 担任「じゃあ…市川から始めてくれ」 七星「はい、え〜市川 七星です。 趣味は天体観測です。よろしく」 担任「順番に言ってってくれ、次は…次…次…そんでもって次は…星村」 優月「はい、星村 優月です。 趣味は天体観測とお菓子作りです。よろしくお願いします。」 担任「その次は…長谷川」 海斗「うぃ〜す。長谷川 海斗っす。 趣味は……いろいろあります。よろしく」 担任「次は…次…次…じゃあ最後に雪谷」 睦月「はい。雪谷 睦月です。趣味はお料理とピアノです。 よろしくお願いします。」 担任「自己紹介は終わったな。明日は…何もないが、遅刻しないで来るように。以上」 そう言い残し担任が教室から出ていく。 七星「よしっ!終わったぁ」 海斗「これから遊びに行くか?それとも部活か?」 七星「優月〜今日は部活あったっけ?」 優月「ないわよ。遊びに行くの?」 海斗「昼飯も兼ねて遊びに行くか!」 七星「じゃあ行こう。」 優月「じゃあね。睦月ちゃん」 睦月「うん。バイバイ優月ちゃん」 〜〜〜〜〜〜 優月「今日は楽しかったね〜」 夕方、空が赤く染まる頃、3人は路地を並びながら歩く。 海斗「疲れたけどな」 優月「じゃあ、今日はここで解散だね。」 七星「そういえば来週は入学式だから海月にもよろしく言っといて」 海斗「おぅ。じゃーな」 優月「バイバイ海斗君」 七星「じゃあ明日の飯も頼むよ優月。」 優月「はいはい…。とりあえず寝坊しないでね」 七星「了解。じゃあね」 優月「バイバイ」 〜〜〜〜〜 風呂に入り自室に戻りくつろいでいるところに、一本の国際電話が。 七星「もしもし?」 母「七星?今日は無事に学校へ行けたの?」 七星「まぁ…優月のおかげで無事に行けたよ」 母「そう。じゃああんまり優月ちゃんに迷惑かけないようにね」 七星「はいはい。夜も遅いからもう切るよ。」 母「そうね、じゃあ体に気をつけてね。」 そう言い電話を切る 七星「さてと…寝るとするか」 そして一日が終わった。